古布で綴る物語

猪になった布

時を越え巡り会った布 その1

素朴な風合いの木綿布。藍を生かす和更紗。 
時には布の色褪せや傷みが、味わい深い雰囲気を
表現するための貴重な要素になります。  
古裂であればアジアの布もヨーロッパの布も
違和感なくなじんでくれます。*1

古布のおはなし

古布(こふ)とは、昔の着物、布団など、江戸後期、明治、大正、昭和までの時代物の古い布で、藍染め・木綿・縞・紬・ちりめんなどの布のことをいいます。

本来「布」という言葉は木綿や麻など植物繊維の織物を示し、絹織物のことは「帛(はく)」といい、「布帛(ふはく)」が織物の総称とされています。「裂(きれ)」には反物から着物を仕立てた時に出る切れ端のこと、また、正倉院裂のように歴史ある織物の意味があり、木綿や麻素材の「布」に対して、絹織物を「裂」と区別することも多いようです。
現在は、絹や毛織物まで含めて広く「布」とされていますので、ここでは、時代物の織物を「古布」として紹介します。

小見山は、藍染を基調に素朴で暖かみのある木綿素材の布を組み合わせる作風が多く、特に小さい可愛らしい花柄や小紋、中型染めを好んで作品に使用しています。また、更紗は布合わせ、大好きな猫や動物の柄を表現するには欠かせない布地でした。

年代を経た貴重な布を小さく切ることに抵抗があるものの、作品の中で古布の色や柄を活かせることに喜びを感じながら針仕事を楽しんでいました。

猫になった布

小見山の愛猫だった「中ちゃん」
長崎更紗 幕末~明治初期

魚のパッチワーク

手提げ「魚のパッチワーク・魚どろぼう」でつないだ布の一部
「魚のパッチワーク」更紗、縞、青海波、型染め、色々な文様の布をつなぎ、シックでお洒落な魚になりました。
「魚どろぼう」は藍と格子をベースに泥棒猫のアップリケがされており、もんぺは絣、風呂敷は更紗、魚は絞りや型染めなどで表現しています。

「古布で綴る物語」では、メッセージとともに、使用している布のこと、制作アイデア、作品に込められた思いなどについてお届けします。

Apr.15.2021

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